中国 党大会の行方と経済情勢

次期首相候補と目されていた孫政才が失脚した。堅実さが売りで大胆さに欠けるといった特徴は、薄熙来の後継として毒された思想・根深い腐敗を打破するに、役不足だったようである。現執行部は彼を汚職で失脚させる代わりに、昇格させず政治局委員として残すことも出来ただろう。薄熙来は失脚させる必要があった; 影響力と後ろ楯の有無という点で両者の事情は異なるからだ。

しかし、習近平は波紋を呼ぶことを厭わず首を切ることを決断→早めに陳敏爾に重慶市トップに据えることを選んだ。それ程重慶市の現状に不満があったということなのだろうか。19大で選出される政治局委員に関しては習近平派が大勢を占めることが予想される。つまり、政治局1枠のために孫政才を失脚させたというのはお門違いだと思う。そして陳敏爾が政治局常務委員にジャンプアップする可能性も低くなった。まさかのリリーフではないでしょう。

なるほど、中国の権力争いは複雑怪奇…。

 

ともあれ孫政才が政治局常務委員になる可能性が消え失せたことは間違いない。

報道をまとめると、

100% 習近平

80% 李克強、汪洋、栗戦書

50% 王岐山、王滬寧、趙楽際胡春華、韓正

少なくともここまでで6人は選ばれるはず。

(上記で常務委員9人という選択肢はないか)

残る候補としては李源潮、張春賢、陳敏爾。陳敏爾を隠れ蓑としたまさかのダークホースXのジャンプアップの可能性もある。

まだ北戴河から漏れ聞く有力な話はないと思われる。そろそろ蓋然性のありそうな報道が出てきてもおかしくないと思われる。

 

さて上半期の経済情勢についてレビューする前に、リコノミクスと供給サイドの構造改革の違いについて考えてみたい。昨年から供給サイドの構造改革が最重要政策の1つとなったが、従来のリコノミクスと何が違うのだろうか。

李克強経済学 http://www.china.org.cn/business/2013-07/24/content_29516827.htm

1. No large-scale stimulus package

2. Deleveraging

3. Structural reform

供給サイドの構造改革 https://www.youtube.com/watch?v=0K5twDLlb80

1. Cut industrial capacity

2. Reduce housing inventory

3. Cut leverage

4. Lower corporate cost

5. Improve weak economic links

Q. 何が違いますか? A. 分かりません。

しかし、物事には理由がある訳で、なぜ習近平が首相の専権事項である経済政策の主導権までも握ろうとする必要があるのか。津上俊哉は李克強は実は「安定成長派」であり習近平こそが「改革派」であると主張する。田中修は、1. 国有企業のウェイト 2. イノベーションに対する考え方、について習近平李克強には歴然とした差があると言う; つまり習近平は党ー国有企業を重視する、李克強は公民ー民間企業を重視すると説明した。おそらく双方とも正しいと思う。ただ改革という側面から字面にするだけでは浮かび上がりにくいギャップが両者には存在するのだろう。

 

ところで、なぜリコノミクスと供給サイドの構造改革の違いについてレビューしようと考えたのか。筆者の考えでは、上半期の経済情勢に両者のせめぎあいが見てとれたように感じたからだ。

3つの指標を取り上げる。第21回中国塾の資料を参照

・都市固定資産投資ー1-6月期、前年同期比 8.6%増

・インフラ投資ー1-6月期、前年同期比 21.1%増

・不動産投資開発ー1-6月期、前年同期比 8.5%増

党大会の前だけあって、安定重視ー投資の活性化が見て取れる。しかし、習近平路線に反していないかという疑問がある。細かく見ると投資増は今年3~4月をピークを迎えている→その後若干の減速がみられるのだ。そして今、引き締めを図ろうとしている。安定を重視するならば、今現在こそ好景気であることが必要ではないのか。若干ピークがずれている?これが何を意味するのか→国務院・李克強側が意図的に支出を増やした可能性がある。つけは信託貸付 11.7%増→新たな理財商品流通の可能性。習近平が一番嫌がるリスクを李克強がとったという見方は穿っているだろうか?

下半期、党大会の人事他の動向から特にマクロ経済政策に関して示唆に富んだ話があればいいなと思っている。