北朝鮮 核と経済の並進路線

トランプ大統領が"with fire and fury"と言った後、朝鮮人民軍がグアム沖へのミサイル発射計画を明らかにしました。直接的な因果関係があるかは未証明ですが、緊張のレベルがまた一段と上がったことは事実でしょう。

専門家の話を聞いても、北朝鮮の核・ミサイル開発が想像以上のスピードで進行していることは間違いない。エンジン開発、核の小型化、再突入の技術に至るまで数年前まではまだ猶予期間があると考えられていた。しかし、今やもう差し迫った脅威として捉えられている。日本や韓国は以前からスカッド・ノドンの脅威にさらされており今更感もなくはないが、対アメリカとなると事態は根本的に異なり、昨今のような情勢となる。北朝鮮金正恩体制が核・ミサイル開発は止めることはほぼ100%なく、凍結で「対話」に合意することも今のところ想定できない。北朝鮮はアメリカが本格的な攻撃を決断することはできないと足元を見ている。そして、それは残念ながら正しく、北朝鮮は全く譲歩する必要性を感じていない。国際政治に変化がないと仮定すれば、北朝鮮は確実な第二撃能力SLBMの発射能力を持つまで; 結局のところ原子力潜水艦が最後の課題となるだろうが、開発を続けていくことになるだろう。

 

今までの国連の制裁決議は核・ミサイル開発に全く影響していないという意見がある。1. 統計に表れない東北三省と北朝鮮の交易を防ぐことが出来ていない。2. 表の交易ラインを塞ぐことによって、むしろ裏のルートの発達を誘発した。3. そもそもミサイルの部品を見ても各国様々な民生用の輸入品が有効活用されている。この中で一番重大なのは北朝鮮中枢を結ぶ裏ルートの開発が進んだことだろう。焦点は今後、北朝鮮が核実験を行い、中国が石油を遮断したとしてダメージを与えられるだろうかといったところか。もちろん、制裁決議が国家というアクターの一致団結を示す場として機能していることは否定しない。そして、国際社会としても制裁を強化していくこと以外の方法がないのだろう。

 

北朝鮮経済に関して、韓国銀行は2016年の成長率を3.9%と見積もった。昨年が若干のマイナス成長だったのでその反動もあった。しかし、実態を表しているかはどうも怪しいと感じている。市場はもはや必要不可欠なぐらい発達している。それは5年前の時点で、つまり金正日の死去の時、市場閉鎖期間を短縮せざるを得なかったという点からも明らかである。地道なフィールドワークからコメの価格や他の消費財の流通について調べている専門家の論文を読む限りでは、北朝鮮経済に混乱は見られない。どこまで統制がとれているかという問題はあるが、大きな亀裂は報じられていない。今後、スピードは別にして、北朝鮮経済が1990年代の苦難の行軍の再来のような苦境に立たされることもなく、成長を続けていくだろう。

そしてその過程の中で、北朝鮮の市民生活に変化が出るのか、それとも強固な統制社会が堅持されるのか、その程度しか事態の打開に関して展望は持てないのだと、悲観的に考えれば、斯様な結論になるのである。