中国 「一帯一路フォーラム」

北京で「一帯一路フォーラム」が開催されました。G7で首脳が参加したのはイタリアだけだったものの、ロシア・トルコ・ASEAN諸国を中心に29ヶ国の指導者が参加、約130ヶ国が代表団を派遣し、国連事務総長世界銀行総裁も名を連ねた。アメリカも直前に代表団派遣を決定し、日本からは二階俊博幹事長等が参加した。

「一帯一路フォーラム」は今年、中国が最重要視する外交イベントと位置付けられていて、成功が義務付けられていた国際会議であったと言える。開幕直前に北朝鮮がミサイルを発射・しかも約30分間飛行したということで、メンツは潰され・報道は希釈されるハプニングがあったが、全体としては万事順調・中国の報道は一帯一路一色であり、習近平国家主席指導力が如何なく発揮されたことを国民に示すことが出来た。第19回共産党大会に向けて、素晴らしいスタートダッシュである。

 

そして個人的に2点、大袈裟に言うと衝撃を受けた。

 

1. はじめに、「中国はもはや先進国である」ということである。

細かい定義を無視することを条件に、先進国を大国もしくは地域覇権国と言い換えても良い。もちろん、農村(国内)を鑑みれば、中国は一部発展途上国のレベルに留まる。しかし、これほどの国際会議をどのくらいの国々が主催できるかということを考えてほしい。日本やドイツでも難しいのではないか。ADBは影響力を減少させ、AIIBが勢いを増してきている。2010年に中国は世界GDP2位になった。そして今や、毎年の政府活動報告は、オーストラリアのメディアに自国の政治・経済よりも大切であると言わしめるまで重要性を帯びている。世界の成長の数十パーセントを中国が牽引しているという事実は数年前から明らかであった。

しかし、昨年G20を成功裏に終えたとはいえ、中国自身が枠組みを作り・主催する国際会議の成功という結果は、誇張を承知で言うと、パワーシフトの始まりとも解釈できる。これまでS. ストレンジの言う「構造的パワー」という意味ではアメリカが世界を牛耳ってきた。しかし、そこに今中国が加わろうとしている。国際秩序は新たなステージを迎えているのかもしれない; 良し悪しはともかく、アメリカ1強から本格的にG2へと移行する転換期なのかもしれない。

 

2. 上記と関連する事柄として、アメリカと日本がAIIBに参画するシグナルを送り始めたという事である。

アメリカはTPPから離脱を宣言し、100日計画の途中経過と成果を発表→「一帯一路フォーラム」に代表団を派遣することを決定した。従来のD. トランプの公約とは何だったのかという変貌ぶりで、AIIBに参加することも厭わない方針のように見える。

そして、日本でもAIIBに対する姿勢に変化が見られるようになってきた。二階さんは従来からAIIBに参加しても良いと言う立場であったが、少なくとも政府は慎重な立場を崩していなかった。もちろん今でも、"慎重"であると言えるのであるが、「条件が整えば」という言葉に込められてるニュアンスから、参加のハードルを下げたコメントが最近発信源から報じられているのである。

例えば、安倍首相はCNBC・BSジャパンのインタビューで「疑問点が解消されれば前向きに考える」と述べた。林芳正農水相は「今まではガバナンスが効いている・検討すべき」と発言している。事例が多数あるわけではないが、方針を転換させる空気が醸し出されている。今まで解釈次第ではあるが、安倍政権は中国を封じ込める外交を行ってきた; 安保ダイヤモンド構想やTRIMは一種の中国包囲網でもあった。しかし、もしAIIBに参画するとなれば、これらの外交方針は一部軌道修正が図られたと判断しなければならない、そういった意味で衝撃なのである。

 

・まとめー日中関係の今後の行方は?

二階幹事長は中国でかなりの好待遇を受けていたように感じました。「一帯一路フォーラム」閉幕後とはいえ、習近平国家主席との会談をセッティングされた。また中国の報道では、二階幹事長の中国訪問がかなりフォーカスされている; 公式的には彼は副首相級であり、日本では控えめな報道がなされているのと対照的である。安倍首相及び官邸は内政の諸事情を考慮に入れなければならない訳で、むやみに妥協したようなイメージを持たれるのはマイナスイメージである。そういった意味で報道が多少抑えめになるのは仕方ないと思うが、地味に阿吽の呼吸が出来ているのではないか?というのも気になるポイントだ。楊潔篪国務委員の訪日とその後の動向次第では日中関係も大きな転換期となるのかもしれない。今年ー日中共同声明45周年であり、来年ー日中平和友好条約40周年を迎える。つまり、安易な結論を出すならば"融和"が予想されるが、そう首尾よく事が運ばない諸条件を併せ持つのが日中関係であるとも言える。