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韓国 文在寅大統領

大方の予想通り、文在寅が大統領になりました。

情報を追加し、所見を述べます。

 

1、選挙結果について

所々で「地域主義の時代が終わった」との論評を見たような気がしますが、僕自身は保留としておきたい。確かに三金(YS DJ JP)の時代と比べ、地域主義の影響は弱まっているといえるが、"この御時世においても"大邱慶尚北道では洪準杓(自由韓国党)が一定の差をつけて1位になっている。そして、湖南における洪準杓の支持は数パーセントにしか満たない。ただ長期的な流れとして、三金という個人の影響力がそがれていき、地域主義色が薄れていくことはまず間違いないと見てる。

実は自由韓国党もこの大統領選挙の勝利者と言えるかもしれない。彼等は次回の選挙が2020年であることを見通し、あくまで受動的な立場から今回の大統領選挙に臨んだはずだ。もし候補者を擁立できない or 劉承旼(正しい政党)に負けるといった事態が起きたならば、政党=保守の瓦解が見込まれた。しかし彼等は94議席に見合う得票率を得、見事2位まで上り詰めた

一方、安哲秀(国民の党)は中途半端に終わった。どの年代・地域においても彼はナンバー1となり得なかった。まず、金大中派と国民の党の基盤である全羅道文在寅(共に民主党に完敗しているようでは手合い違いである。昨年の総選挙では国民の党が大勝した地域だ。そして、地域別ではこの光州・全羅南道における30%というのが最多となっている。安哲秀はどの地域においても大よそ15%以上の支持を集めた; もっとも文在寅は全地域で20%以上の得票率を得ている。前回の大統領選挙では安哲秀旋風を巻き起こし、主に若者・大学生から絶大の支持を集めたと言われていたが、5年後の今、彼は20代(17.9%)から最も支持を得られなかった。そして、それらの支持は劉承旼(13.2%)と沈相奵(12.7%)に流れた。

劉承旼と沈相奵(正義党)は共に6~7%前後の得票率で敗退している。地味に興味深いのは沈相奵が全地域で4%以上の支持を集めたことである; そして、最低が既存の革新勢力が強い全羅南道の4.01%というのも皮肉な結果と言えようか。両者ともTV討論で比較的評価を得た候補だった; その結果が上で述べた20代の高評価につながったのかもしれない。ただ、特に沈相奵に流れた票はまともな候補者がいないといった消極的な投票行動の結果である可能性も考えられる。

60代・70代以上は洪準杓を支持した。しかし、今回の選挙においては50代まで文在寅を支持し、従来よりも進歩勢力の支持範囲を伸ばした。現状の若者の就職難が親世代に影響を与えたのかもしれない; ここで気にかかるポイントは、朴槿恵スキャンダルが人々の投票において第一義的な影響を与えたのか否かという点であるが、YesともNoとも言いかねる絶妙な結果がでた。この点については専門家の意見・研究を待ちたいと思う。

 

2、文在寅という人物評に関して

特に、大統領選挙当日から当選後2日にかけては、日本の新聞も文在寅新大統領誕生を今まで以上に大きなトピックとして報じていたような気がする。正直、ここまで熱くなる必要があるかと思っていたが、12日金曜日辺りから一気に分量が減った。今度はここまで一気に冷めるものなのかと感じた。TVは面白おかしく報じているケースも多い; 文在寅の家と間取りまで報じる必要はないでしょう。

産経新聞は報道姿勢として非常に"楽"だったのではないか。まず左派政権が見込まれ、妥協姿勢を見せようとも、彼らのお眼鏡には進歩勢力であることに変わりがないため批判一色に染めることが出来る。僕も例えば、新しく秘書室長に任命された任鍾晳氏について全く知らず、今日昨日の報道に依存する訳であるが、彼はなかなかの左派である。流石に林秀卿の北朝鮮派遣に関わったとなると、本物の左派認定をせざるを得ない。

日本でトピックになる慰安婦問題北朝鮮政策に関しては、専門家の方々が大枠で一致した考えを持っているようだ。つまり、慰安婦問題に関しては、解決及び今後の方向性を決めるのに一定の時間が必要→はじめに慰安婦合意の検証委員会を立ち上げるのではないかという考えが優勢であり、北朝鮮政策については、早々に南北首脳会談を開催することは難しい、THAADに関しても一方的に撤回を決断づけるにはリスクが高いと思われるという意見が多数派である。北朝鮮政策に関しての注目点は、いわゆるムーンライトポリシー(文=Moon-light policy)なるものが; つまり文在寅大統領がどこまで自主性を発揮しようとするかである。そして、側近含め左派勢力の影響力と保守陣営の反発にいかに対処するか北朝鮮政策に関しては折衝・舵取りが難しい。

今のところは順調な滑り出しを見せているようにみえる。Anything but 朴槿恵の方針は世論の広範な支持を得られるからだ。秘書官と昼食を食べます、食堂でも食事をとります、上着は自分で脱ぎます、仁川空港で関係者と対話を行いますetc。まだ就任5日であり、保守と進歩が分裂するような爆弾を放り投げることはしていない。就任後すぐ、鄭宇沢院内代表(自由韓国党)と会い、統合を求めた。国会運営には自由韓国党のサポートがほぼ不可欠であると言える; 共に民主党+国民の党+正しい政党でも180議席に満たないからだ。

崔順実ゲートから大統領選挙まで、韓国国民はそして一部の日本メディアのダイナミックコリアにかなり沸いたが、大切なのは文在寅大統領がどのような政策を実際に行っていくのかという事である。トランプ大統領の誕生が現実味を帯びるに連れ、報道は彼のAmerican Firstに大きな懸念を示したが、トランプ大統領は中国の製品に45%の関税のかけていない。彼が選挙中にある種の公約として発した政策の中にはすでに撤回(?)されたものもある。文在寅大統領についても、もちろん彼の政策志向・イデオロギー的側面に目を向けることは大切であるが、改めて事の本質は彼がどのような政策を実行するのかということである。文在寅大統領が内政の諸矛盾を解決できることを望んでいる。