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北朝鮮 金正恩と国家思想

北朝鮮の内政とは如何なるものか。本来は労働新聞等を読み、その国家思想を読み解くべきだろう。しかし、それらの研究は私の能力を超えるいるので、まず手引き書として『金正恩著作集』『金正恩著作集2』を読んでみた。

 

キーワード:金日成金正日主義、金正日愛国主義、経済建設と核武力建設の並進路線、咸南の炎、江界精神(→江原道精神)、千里馬運動(→万里馬速度)、馬息嶺速度、延吉爆弾精神

 

権力基盤に乏しく、白頭の血統という正統性に依存している金正恩体制のスタートが「金正日総書記を永遠に高くいただき総書記の遺訓を貫徹しよう」(2011年12月31日)であったことはある意味当然のことである。総書記の死後しばらくは、金正日総書記の個人崇拝・偶像化の強化に努めた(総書記の偉業を称え、金正日愛国主義を強調)。全社会の金日成金正日主義化という素晴らしい綱領を発明し、金日成主席のチュチェ思想金正日総書記の先軍思想の貫徹を訴えた。

この5年を前期・後期に分けてみると、前期では、金日成主席・金正日総書記の遺訓貫徹と継承に力を入れている場面が目立つであろうか。後期においては、全社会の金日成金正日主義化に加え、新たな色を加えようとしているようにも見えなくはない。しかしそれらは、万里馬速度や江原道精神であり、模倣品に留まる。

 

著作集は想像にも増して芸がない; というのも、新たな金正恩思想なるものが展開されている訳ではなく、ただ先人たちの偉業を引き継ぎ、貫徹をすることを主張することに留まっているからだ。○○しなければならない/○○すべきだ、という文章が永遠と続き、欠伸をしてしまう(→粛清された)のも理解できる内容である。

 

一般的な演説の流れは以下の通りであると理解した。

1. 金日成主席が、創造し指導した思想と業績を称える

2. 金正日総書記が、思想と業績を固守し進化させた偉業を称える

3. 金日成主席と金正日総書記を永遠にあおぐ→全社会の金日成金正日主義化

4. すべての部門、すべての単位で○○しなければならない/○○すべきだ。

5. わが党は百戦百勝・必勝不敗である

 

著作集からは、金正恩体制が非常に白頭山三大将軍の血統に正統性を負っているという当たり前のことが分かった。さらに言えば、現代人の感覚からは違和感あふれる内容・異常性ばかりが感じ取られた。権力継承から5年が経過したが、大枠を超えた方向性について著作集から何一つ感じ取ることが出来なかった事は残念である。

 

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朝鮮労働党第七回大会でおこなった中央委員会の活動報告(2016年5月6日、7日)

 朝鮮労働党第七回大会は、全社会の金日成金正日主義化の旗じるしを高くかかげて、わが党をさらに強化し、社会主義強国の建設とチュチェ革命の最後の勝利をはやめるうえで歴史の分水嶺となるでしょう。

一、チュチェ思想先軍政治の偉大な勝利

 チュチェ思想は世界的な大政治風波と重なる困難のなかで朝鮮革命をチュチェの道に導いてきた百戦百勝の旗印

 先軍政治はわが党と人民が難局を打開して歴史の奇跡を生み出せるようにした勝利の宝剣

(1)社会主義偉業の勝利的前進のためのたたかい

(2)強盛国家建設でなしとげた誇らしい成果

  • 一心団結の政治思想強国、不敗の軍事強国
  • 経済建設と文化建設

(3)革命偉業の輝かしい継承

金日成同志と金正日同志をわが党と人民の永遠なる領袖として高くあおぎ…

二、社会主義偉業の完成のために

(1)全社会の金日成金正日主義化

(2)科学技術強国建設

科学技術が経済強国の建設で機関車の役割を果たすべき

(3)経済強国建設、人民経済発展戦略

  • わが国は堂々と政治軍事強国の地位を占めましたが、経済部門ではまだ相応の水準に達していません
  • 人民経済の自立化と主体性を全面的に強化
  • すべての生産工程を自動化、知能化し、工場、企業を無人化する
  • 人民経済の各部門における科学技術と生産の一体化

国家経済発展五ヵ年戦略(2016~2020年)

 国家経済発展五ヵ年戦略の目標は、人民経済全般を活性化し、経済部門間のバランスをとって、国の経済を持続的に発展させるために土台をきづくこと。

  1. 電力問題の解決
  2. 石炭鉱業と金属工業、鉄道運輸部門の発展
  3. 機械工業、化学工業、建設部門と建材工業部門の転換
  4. 農業と水産業軽工業部門は人民生活向上の突破口をひらくべき
  5. 国土管理事業を力強く展開
  6. 環境保護事業を改善
  7. 対外経済関係を発展

(4)文明強国建設

  • 教育事業の発展
  • 保険医療事業の発展
  • スポーツ強国を建設
  • 社会主義文学芸術の全面的開花
  • 道徳的紀綱の確立

(5)政治的軍事的威力の強化

  • 党と人民大衆の渾然一体をいっそう強固にすべき
  • 人民軍の任務
  • 国防工業の発展

三、祖国の自主的統一のために

(1)祖国統一の三大綱領

  • 祖国統一十三大原則
  • 高麗民主連邦共和国創立法案
  • 全民族十大綱領

(2)六・一五宣言と十・四宣言

祖国統一の焦眉の問題は、北南関係を根本的に改善すること

(3)アメリカ―時代錯誤的な対朝鮮敵視政策

(4)対話と教商

 対話と協商は、北南関係で提起される問題を民族の念願と意思に即して解決するための基本的方途です。

四、世界の自主化のために

(1)帝国主義反動勢力との対立と闘争

アメリカ帝国主義

(2)世界の自主化を実現

帝国主義、支配主義勢力の侵略と内政干渉に反対

(3)非同盟運動の強化発展

(4)自主的な対外政策

  • 保有国の地位にふさわしい外交
  • 先軍の威力によって地域と世界の平和と安全を守らなければなりません
  • わが共和国の国際的影響力をさらに高め…

五、党の強化発展のために

 朝鮮労働党は革命的党建設の新たな境地をきり拓き、偉大かつ尊厳のある金日成金正日主義党として強化発展し、チュチェ革命偉業を輝かしい勝利の道に導きました。

  • ハンマーと鎌、筆
  • 形式主義の古い枠をやぶり、当活動で革新をおこさなければなりません
  • 権柄と官僚主義、不正腐敗運動とのたたかい
  • 党の指導的役割
  • 金日成金正日主義を唯一の指針
  • 党組織の役割
  • 党の思想活動を根本的に転換

自主性をめざす人民大衆の聖なる偉業、金日成金正日主義党の偉業は必勝不敗。