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中国 全国人民代表大会

中華人民共和国

李克強総理の記者会見(3月15日)を聞いている。

全てを網羅している訳ではないが、以下の質問があった。

米中関係、成長率、自由・保護貿易、政府のガバナンス、イノベーション、香港、中露関係、為替レート・外貨準備高、構造改革・雇用、アジア太平洋地域における役割、経費節減・減税、台湾、朝鮮半島・・・

雇用、構造改革イノベーションに関する質問が多い印象。

香港に関しては、経済における相互依存関係を重視してみせた。

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出典:China.org.cn http://live.china.org.cn/2016/03/04/premier-li-keqiang-delivers-govt-work-report-at-12th-npc-session-4/

 

今回は、中国の内政について理解するため、第12期全国人民代表大会第5回会議「政府活動報告」を読みとく。日本の報道や前年の報告も参考にしつつ、中国政府の意図を理解する学習をしたい。

まず、当ブログの前記事で、政府活動報告(3月5日)の要点をまとめた。

http://blog.hatena.ne.jp/unotama/unotama.hatenablog.com/edit?entry=10328749687227523226 (English)

作業としては、前年度の政府活動報告についての要約も同様に作成し、それらを比較した。基本、英語版のreportを読み、所々で中国語版を参照した。演説(約1時間40分)を聞き、内容の把握に努めたが、アクセント等の理解力に欠けている事は同記事のLimitationである。また内容の誤読などの可能性があるが、その点については筆者の能力不足に由来する事で、ご容赦願いたいと思う。

Wall Street Journal China NPC 2017: The Reports - China Real Time Report - WSJ

 

それでは本題へと移ろう。「政府活動報告」by 李克強

はじめに変化した点

習近平同志を核心とする党中央

類似の表現を含めれば6度、習近平=核心であることが表明された。筆者はその演説で3~4度しか気付くことが出来なかった。重要なのは回数ではなく、李克強総理の演説の開始: 2016 WORK REVIEWの正に出だしから、6中全会において習近平総書記が党の核心と位置付けられたことを確認したという事実だろう。言い換えれば、昨年の政府の最も大きな活動が、習近平=核心であると表明しているようなものである。今年の習近平国家主席は1度もペーパーを確認しなかった、表情の変化もなく、張高麗並みのポーカーフェイスであった。

②雇用・環境問題の重視

前年に比べ"人民目線"の演説であったと感じる。それはGUIDELINES FOR 2017の5項目で「社会的関心の問題の解決」を謳っていることからも分かる; 管見の限り、ここまで直接的な表現は昨年度の演説に見当たらない。

雇用について、ここ1年で、退役軍人のデモ等が表面化したこともあり、政府が同問題に対してより重視して取り組む姿勢を見せたと言える。employという単語で検索する限りでは26→29回と頻出度に前年と有意差を得ることはできなかったが、2016 WORK REVIEWの主要達成項目に雇用の創出を挙げ、2017年においても目標の1つ、また最頻出単語でもあることから、相変わらず、より重視している項目であるとみなすことができる。

環境問題においても、それらの強調は顕著で「青い空を取り戻す」という宣言は、前年とは違い直接的であり、スモックについての言及も1→3回と増えた。自動車等の排出ガスのコントロールを強化することにも力点が置かれ、人民配慮の環境対策に取り組むことを表明した。

③香港・台湾への圧力強化

一国二制度の堅持・台湾独立の阻止、では確かに文言が強められ、重きを置かれたように見受けられた。従来の1992年コンセンサスに加え"一つの中国"原則に関する言及もあった。ただし、記者会見では終始、経済関係を強調した無難な発言をしていたと思う。

 

次に前年と変わらない点

供給サイドの構造改革国内需要の喚起

前年同様、過剰生産能力の改善・ゾンビ企業の整理を問題として抱えている。MAJOR AREA OF WORK FOR 2017の1~2、4~5項目は改革(変革・イノベーションを含む)の推進がメインである。3項目が国内消費・投資、都市化等の問題に該当する。権威人士の問題(巷で言われる習近平李克強の対立)は全人代の政府活動報告に大きな影響を及ぼしていない。

・Challengeについて

多くの困難に直面しているという表現が昨年同様複数回用いられた。保護主義批判を匂わす言い回しもあったが、世界情勢全般の傾向を意識しての事だろう。

・法に基づく政治・政策

法の整備と法に基づく判断、法治国家の整備を進めていることをアピールしている。おそらくlawという単語が演説で最も多く発せられた名詞ではないか。

・農業及び貧困問題への言及

貧困層を1000万人減らし、補助金を30%増額する。(都市化と都市への移住促進)。農業の現代化と田舎におけるインフラ整備、組合や協会の創設。等

・拍手の頃合いー余談

全く分からない; 人民の生活に関連する発言の後に拍手が起きているような気もするが。全人代の代表は内容の要点を理解しているのだろうか。今年一番全人代が沸いた瞬間は携帯のローミング・長距離料金廃止を明言した時だった。李克強総理も戸惑っていた様子だった。

 

その他

2016年の政府活動報告は少々特殊で第12期五ヵ年計画の成果と第13期五ヵ年計画の説明に時間が割かれた。今年はそれらを言及する必要がなく2017年の政府活動の計画に多くの労力が費やされた感じがした。

民族衣装を着た人達が目立つ。欠伸をする人もいる。

演説時間は約1時間53分→約1時間40分に減少。

文字数16600→15700字(英語)19600→18800字(中国語)

産経の記者は記者会見に参加できなかった⇔日経の記者は中国語を誉められた。

 

以下参考まで

2016年の目標と達成具合 & 2017年の目標

1. GDP成長率6.5~7%→6.7% 6.5%以上

2. 消費者物価指数上昇率3%前後→2.0% 3%前後

3. 都市部における雇用の創出1000万人以上→1314万人 1100万人以上

4. 都市部における失業率4.5%以内→4.02% 4.5%以内

5. 総輸出輸入の着実な増加→記載なし(6.8%減) 同左

6. (安定的な)基礎的国際収支→記載なし(経常収支2014億ドル) 同左

7. 個人所得の増加→記載なし(不明) 同左

8. GDP当たりのエネルギー消費を3.4%減少→5%減 3.4%減

9. 主要汚染物質の排出の更なる減少→二酸化硫黄5.6%や窒素酸化物4%の減少、PM2.5は9.1%低下。 同左