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日本 野党論と民進党

日本

今回は、野党の役割について考えてみる。

蓮舫さんが民進党の代表になり、3ヶ月以上が経過しました。しかし、民進党の支持率は低空飛行を続け、国民の期待は萎んだままです。

なぜ民進党は「水中に沈んでいる」(野田幹事長)のか、その原因について検討します。

 

吉田徹『「野党」論』(ちくま新書、2016年)では以下、3つの野党の役割が述べられている。

①権力に与っている与党に対し異議申し立てをすること

②争点を明確化するということ

③「民意の残余」を代表するというもの

*「野党性」・・・権力の主体(政府与党)が実現したいと思うことに対して、それを様々な方法と手段をもって変化、修正、妨害させる力

 

現在の民進党を採点するならば、①△②×③×

その理由としては

党としての統一見解が不明確・・・蓮舫さんは政策ではなく、人気に対する期待がベースで圧倒的な支持を受けた。民進党は寄せ集め集団→多数のグループがあり、統一見解をプッシュしていくことが難しい現状。

そもそも民進党は「保守」ではないかという疑問・・・蓮舫代表自身が自らを「保守」であると明言しており、自民党との違いをアピール出来ていない。

 

以上が簡単な結論ではありますが、

次に①民進党と派閥、②民進党の政策志向についてもう少し砕いてみましょう。

 

民進党と派閥

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 出典:産経ニュース http://www.sankei.com/politics/news/161002/plt1610020026-n1.html

(この図解で特徴的なのは、1) 野田Gと岡田Gを分けていること→通常は野田Gで一括り、もしくは岡田さんは無派閥。2) 旧維新Gが主流派と非主流派に分裂していること→両者中立と見てよいと思う。)

 

まず、保守系→リベラル系に並べてみた。

長島G 6人長島昭久ー最も保守色が強い

前原G 約20人前原誠司保守系では最大勢力、安住淳代表代行

野田G 約15人野田佳彦蓮舫代表

維新派 23人江田憲司松野頼久ー現時点で最大勢力

細野派 約15人細野豪志

大畠G 約15人ー大島敦ー鳩山Gや管G出身者も多い、大畠章宏国交省

民社党系G 約10人高木義明ー旧同盟系、川端達夫

社会党系G 約15人赤松広隆サンクチュアリ、最もリベラル

ここで注意すべきポイントは全く政策指向で主流派と非主流派が区別されていないことでしょう。そしてスイングする。一般論として、大人数の政策集団と体をなさなければ、党として一致団結することは難しいのではないでしょうか。

 

民進党の政策志向

例えば細野Gまでを「保守」と仮定するならば、党所属議員の6割程は保守と言える。民進党はおおよそ150名の集団なので、80~100名は保守派と言えるかもしれない。

枝野前幹事長は以下のような発言をしている。

「安倍政治を支えている人たちは、安倍自民党が『保守』だと勘違いしている。ここを引きはがさなければ勝てない。われわれこそが保守なんだと言わないと勝てません」。

(2016年6月5日「6・5全国総がかり大行動」)

発言の妥当性はともかく、枝野さんですら「保守」を自任していることが分かる。

しかし、相対するのは保守本流の安倍自民党政権。具体的な対抗策に欠けがちだ。

民進党政策集 2016 C:Users amaiAppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheIENHFGIJML民進党政策集2016.pdf

(2) アベノミクス失敗への対応
1)消費税引き上げを延期し、暮らしを立て直します。

以下の4 点を前提として、引き上げを2019 年4 月まで2 年延期します。

2)マイナス金利は撤回させます。

 マイナス金利は撤回させ、金融政策は現状を踏まえ、より柔軟に行うよう
促します。

例えば、「アベノミクス」という争点について、アベノミクスの代わりにどのような施策を推進するのか説明していない。追随しているようにさえ見える。

具体論に関しても、消費税ではもはや違いを見いだせず、マイナス金利では「より柔軟に」という言葉で方策を論じていない。

民進党が「保守」ならば、財政規律に基づいて、論拠を示しつつ消費税の増税は致し方ないという路線を採用することも可能だった。そもそも蓮舫代表及び野田幹事長は財政規律派ではなかったかと思う。一方、「革新」と言うならば、大きな政府を提唱しても良いだろう。

現体制は、違いと共に争点を明確化することに失敗している。「保守」を掲げている以上、「革新」の残余をすくい上げる役割も期待できない。

 

結論: ①・②より

グループ再編と統一見解の明確化が必要である。IR推進法案のようなドタバタを防ぐことはもちろん、方向性を示す→党としてのビジョンを明らかにしてほしい

安倍政権に被せたような「保守」では野党の機能を果たせない。そして「保守」を掲げ、反対するのみでは説得力に欠ける。極端なことを言うと、「保守」を自任するならば自民党員になればよいではないかとなる。民進党が野党であるためには、別のイデオロギーを示さなければならない

 

最後に、野党とメディアについて

自民党のメディア支配は目に見えないが進行しているように見える。例えば、白紙領収書を含めた政治資金の問題は報道が矮小化されてはいないか。野党にはメディアの報道の大きさ、つまりは国民への影響力と言う視点を度外視して、適切な問題提起を行ってほしい。

先行研究が、選挙における(特に無党派層が多い日本では)中立志向の政党の優位性を証明しているが、二大政党制を前提に考慮されている制度上、与野両党が中立では違いが不明瞭で議論が矮小化されかねない。理想は保守と革新両党が議論の上、妥協して中立に落ち着くことではないかと思う