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韓国 崔順実ゲート

大韓民国

激動の韓国政治、ダイナミックコリア。

このように書くと、韓国に対する悪口にも聞こえるのだが、2016年の韓国政治を一言で表現するとすれば、結局以上のような感じになるだろう。

出典: ハンギョレ新聞 http://japan.hani.co.kr/arti/politics/25976.html

その象徴が崔順実ゲートであり、日本では想像しがたい規模のデモも起こった。

今回は、いわゆる崔順実ゲートに至るまでの韓国政治を以下2点に焦点を当て整理しようと思う。

朴槿恵権威主義と求心力の低下ー第20代総選挙ー

②"秋美愛ー朴智元ー李貞鉉"体制における政治停滞

 

朴槿恵権威主義と求心力の低下ー第20代総選挙ー

元々セヌリ党は40%近くの支持を得(韓国ギャラップ社)、153議席からどれくらい上積みできるのかが焦点とされていたはずだった。しかし、与党では公認をめぐって内紛が勃発。当時のセヌリ党は非朴派の金武星ー劉承旼体制。公認を承認するのは金武星代表だが、最高委員会議は親朴派が力を持ち、非朴派の公認外しが露骨に行われた。金武星は党代表の印鑑を持ち出して逃亡したが、最終的に降伏。選挙の結果が明らかになる前に選挙後の辞任を発表せざるを得ない非常事態のまま4・13を迎えることになった。劉承旼議員は無所属で立候補することになった。

3月31日に本格的な選挙戦がスタート。共に民主党と国民の党は若者の街、新村に支持を呼びかける。一方、金武星代表、セヌリ党候補者は党内の公認をめぐる混乱へのお詫びから演説を始めなければならなかった。

結果は与党の完敗。呉世勲、金文洙が落選。第1党を共に民主党に譲り渡し、朴槿恵大統領は困難な政権運営を強いられることになった。⇒弾劾可決へと繋がる。

ここで整理したい2つの要素。

朴槿恵権威主義というイメージの定着。←特に国民。

本来禁じられている大統領の選挙介入があまりにも露骨で国民の反発を招いた。大統領支持率も36%まで下落(韓国ギャラップ社)。

朴槿恵大統領の求心力の低下。←特に政治家。

自身の求心力を増したいがための公認操作が総選挙での敗北を招いた。「選挙の女王」の神話崩れる。

レームダックが始まったという印象。第20代総選挙での出来事はそれらの象徴であり、大統領府が崔順実ゲートの防止&鎮静化に失敗した理由の1つである。

 

②"秋美愛ー朴智元ー李貞鉉"体制における政治停滞

6月下旬~8月下旬にかけて、3党の指導部の交代が行われている。

まず、朴智元が国民の党、非常対策委員長に任命された。次に李貞鉉がセヌリ党の党代表に選出され、秋美愛が共に民主党の代表になったのは8月27日だ。

ここでは8月27日~10月24日までの韓国政治がいかに混乱していたかを強調する。以下、時系列。

  1. ロッテグループの捜査が佳境(~9月下旬辺り)
  2. サムスンギャラクシーノート7(8月下旬~)
  3. 韓進海運の破綻(8月31日に法定管理申請)
  4. 北朝鮮の核実験(9月9日)
  5. 自然災害: 地震ー慶州(9月12日)と台風ー蔚山(10月5日)
  6. 大規模ストライキー成果報酬制に対する銀行・輸送機関等(9月23日~12月9日?)、現代自動車の全面ストライキ(9月26日)
  7. 李貞鉉代表の断食ストライキ(9月26日~10月2日)
  8. 金英蘭法の施行(9月28日)における混乱

しかもこの間、崔順実爆弾はくすぶり続ける一方、安保の課題は山積み状態(THAAD配備の問題、北朝鮮のミサイル発射(10月15日)等)。支持率は遂に岩盤支持層と言われていた30%を割れはじめた。さて今後、朴槿恵大統領はいかなる手段をもってして、支持率低迷を食い止め、再浮上を図るのか。内政の混乱をどのように解決するのか。難題が積み重なった時にJTBCの報道があり、憲法改正というカードを投じるも、ごまかしが効かなかったという印象である。

ここで同時期における国民の心理に関して2点指摘したい。

朴槿恵に嫌気が指していた

自然災害という不運は特に、上記にある全ての問題が大統領の責任である訳ではない。しかし在任期間中に起こってしまった出来事は国家元首の立場である大統領の責任として受け止められる傾向がある。過去と似たような問題を繰り返すor解決できない政治・社会に不満が蓄積されていった。

政治家・財閥に対する不信感

サムスン、ロッテ、韓進海運の問題はもちろん既存の財閥に関わる出来事である。総選挙を経て始動した第20代国会は初日から遅刻が相次ぎ(6月20日)、新しい秋美愛ー朴智元ー李貞鉉体制においても対立が目立つばかりで、建設的な議論がなされているようには見えなかった。特に同時期において空転する国会は国民に失望感を与えただろう。

潜在的な不満と失望感の蓄積と増幅。これらは朴槿恵大統領以下、政治家、財閥に対する感情である。特に8月下旬~10月下旬に至るまでに増幅されていったと考える。崔順実ゲートではこれらが爆発してしまった。

 

以上、崔順実ゲートがここまで肥大化した要因(短期)についてまとめてみた。

すなわち、①レームダック化が進み大統領の求心力が低下する一方、②国民には潜在的な不満と失望感が蓄積されていった。⇒崔順実ゲートの勃発。

結論は極めて単純ですが、直接的要因: 朝鮮日報中央日報系含め、ある種の離反を招いたことも同要因(経緯を考えると、特に朴槿恵権威主義というイメージの定着)から説明可能ではないか。

次回は長期的要因について、1987年民主化宣言以降の韓国政治から分析します。

 

最後に、韓国の現状と展望を。

崔順実ゲート: 10月24日、JTBCが疑惑を報じた後、翌日の朴槿恵大統領の謝罪もむなしく、政治家・市民の下野圧力は増す一方⇒12月9日、弾劾案が可決された。

現在も政局は流動的。27日にセヌリ党非主流派は離党⇒1月中旬を目処に新党をたちあげる構え。韓国が4党体制となるのは1988年以来。当時は盧泰愚+3金、90年に保守派の集結があり4党体制は終結した。今回の4党体制も大統領選挙に向けた政局、再編の過程と捉えてよいだろう。安哲秀の支持率は伸び悩んでおり、新たな"第三極"としてセヌリ党非主流派、そして潘基文と合同するのではないかという観測もある。1月は帰国予定の潘基文を中心に動くと予想される。果たして野党は?文在寅が候補筆頭であることは間違いない。しかし、李在明の他候補者はたくさんいる。また、今後の政局は憲法裁判所の弾劾審理の進捗具合と連動することは間違いない。

来年、特に上半期は大統領選挙に関連する動きが中心となるはずだが、最も大切なことは、不必要な政治停滞を生み出さないことだ。韓国国民の熱: 朴槿恵&崔順実叩きは徐々に鎮静化に向かうだろうが、当分は止みそうにない。政治家は国民の声に耳を傾けつつも、行政・立法の役割をしっかり果たしてほしい。官僚は政治家の補佐としての役割を着実にこなすこと。鳥インフルエンザへの対応は何だったのか。デモに参加した知り合いは多かった。これ以上、韓国国民を失望させることのないように努力してほしいと思う。